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本 Books

SF (Sience Fiction)

サマセット・モーム

サマセット・モーム(William Somerset Maughm, 1874年1月25日 - 1965年12月16日)
イギリスの小説家、劇作家。フランスパリ生れ。 10歳で孤児となり、イギリスに渡る。医師になり第一次大戦では軍医、諜報部員として従軍。1919年に『月と六ペンス』で注目され、人気作家となった。平明な文体と物語り展開の妙で最良の意味での通俗作家として名を成した。作品に『人間の絆』『お菓子とビール』や短編「雨」「赤毛」、戯曲「おえら方」など。ロシア革命時は、イギリス情報局秘密情報部に所属した情報工作員であった。

サイモン・シン

サイモン・シン(Simon Singh)は、1967年、イギリス生れ。祖父母はインドからの移民。ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、英テレビ局BBCに転職。TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理』(’96年)で国内外の賞を多数受賞し、’97年、同番組をもとに第1作である『フェルマーの最終定理』を書き下ろす。第2作『暗号解読』、第3作『ビッグバン宇宙論』(以上新潮社刊)がいずれも世界的ベストセラーとなり、科学書の分野で世界トップクラスの高い評価を得ている。
私が最初に読んだのは「フェルマーの最終定理」。以降、暗号解読、宇宙創成、代替医療解剖。これら根底にあるものは「科学的アプローチ」。特になぜ宇宙がビックバンで始まるのか?興味深い。


●フェルマーの最終定理

17世紀フランスの数学者フェルマーは「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」というコメントを残した。以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まった。
ロシアの天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く数学ノンフィクション。
ガロアの話も登場します。(→ガロア理論


●暗号解読

文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを解読してきた。
第2次世界大戦中の暗号技術競争。そこからコンピュータが生まれていく話は興味深い。
また、素数モジュラ算術RSA暗号も登場する。


●宇宙創成

宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。
この物語は、現在最終的にもっとも信じられている「ビックバンモデル」が、どのようにして形成されてきたか?を科学的な根拠を重ねて語られています。(→ビックバン Big Bang
サイモン・シンの一連の科学書において最も大事にしているのが「科学的方法」であり「実験と観測による裏付け」です。
90億万光年だの、光速は一定だのいう話が出てきますが、なぜそうなのか?誰が検証したのか?について期待した通りに記述しあります。


●代替医療解剖

あれー、医療というのはつい最近までいい加減だったんだなあと思う本です。要するに医療は最近まで科学的でなかったということです。
経験優先、しかも限られた地域での経験。医療というのは、そもそも今、目の前で苦しんでいる人をどうするか?というものですから、科学的にやってる余裕がなかったんだと思います。
したがって、今後もっとも発展が希望できる分野なのではないかと思いました。

池井戸潤

2013年7月7日~9月22日にTBSで放送されたドラマ「半沢直樹」でこの作家を初めて知りました。
まずテレビの続編にあたる「ロスジェネの逆襲(2012)」、次にテレビの原作になった「オレたちバブル入行組(2004)」、「オレたち花のバブル組(2008)」と、たぶん世の中のサラリーマンの進んだ道の通り、わたしもどんどん「池井戸潤」にはまっていきました。
この3作は「半沢直樹シリーズ」と呼ばれるようになり、2014年8月には、第4作「銀翼のイカロス(2014)」が出ました。
現在、他の池井戸作品を読みあさっている最中です。
ドラマ「半沢直樹」以降、池井戸ブームで本屋には池井戸作品が積まれていて、どれから読もうか迷いましたが、まずデビュー作「果つる底なき(1998)」を、あとは「下町ロケット(2010)」、「空飛ぶタイヤ(2006)」、「ルーズヴェルト・ゲーム(2012)」、、、。
○印は未読。●は既読。

●果つる底なき(1998)
●M1(2000)→架空通貨(2003)
銀行狐(2001)
●銀行総務特命(2002)
○MIST(2002)
仇敵(2003)
○BT'63(2003)
最終退行(2004)
●株価暴落(2004)
○金融探偵(2004)
不祥事(2004)
●オレたちバブル入行組(2004)
●銀行仕置人(2005)
シャイロックの子供たち(2006)
●空飛ぶタイヤ(2006)
●オレたち花のバブル組(2008)
鉄の骨 (2009)
○民王(2010)
●下町ロケット(2010)
かばん屋の相続(2011)

●ロスジェネの逆襲(2012)
●ルーズヴェルト・ゲーム(2012)
七つの会議(2012)
○ようこそ、我が家へ(2013)
銀翼のイカロス(2014)

銀行狐

5つの短篇からなる銀行ミステリー。
金庫室の死体
破綻した銀行の金庫室で老女の死体が発見された。 老女が定期預金に預けていた二億円が途中解約され、受取りサインは偽物。受け取った行員はホームから転落死。

現金その場限り
「窓が合わない」、伝票と現金が合わない事故。行内を撮影したビデオを繰返し見る中で、不自然な景品受渡しを見つける。ベテラン女性の窓行員が、経営に行き詰ったオーナーに景品を渡すふりをして、現金を渡していた。


口座相違
女性行員が会社名を間違え、誤送金。ところが、その会社は実体がない。しかも、しばらくして倒産。支店と取引にある会社も連鎖倒産。しかし、それは、新規融資を断られた会社経営者が起こした計画倒産だった。

銀行狐
帝都銀行に脅迫文が届き、総務部特命の指宿が調査を開始。犯人は「狐」と名乗った。取引先とのトラブルを調べるうちに、銀行に恨みを持つ2代目社長が浮かび上がる。

ローンカウンター
連続レイプ殺人事件が起きた。刑事山北は、たまたま自分の新車購入資金のローンを申し込みにきた銀行のカウンターで銀行員でなければ分からない情報を得て、事件を解決した。犯人はATMトラブルを起こし、女性の個人情報を得ていた。

仇敵

大手の東京首都銀行の企画部次長だった恋窪が、ある人物の不正を暴こうとして、辞職に追い込まれ、今では東都南銀行の庶務行員。
庶務行員というのは店内の案内や他の雑務をこなすのが仕事。 そんな彼の元に、松木という若手の行員が、恋窪の過去を知って、自分の顧客に対する悩みを相談する。

最終退行

旧日本軍が再興のために東京湾に隠したというM資金の話が出てくる。
主人公は、副支店長の蓮沼鶏二。支店長の谷にこき使われていつも帰るのは最後。銀行を最後に帰ることを「最終退行」というようです。

不祥事

激戦区
激戦区とは東京第一銀行自由が丘支店。
ここでは、なぜかトラブルが多発する。
出会ったばかりの相馬健と花咲舞は早速この事態の原因調査に乗り出す。
一番の問題はベテランの銀行員がどんどん辞めていくこと。背景に「いじめ」があり、業務ができるものが枯渇していき、取引でのトラブルが多発しているとのこと。
これに花咲舞と相馬健のコンビが支店長にむかい、花咲がズバっと物申す。

三番窓口
一億円規模の詐欺計画と並行して、真藤一派対相馬・花咲コンビの戦いが勃発する。

腐魚
老舗百貨店のオーナー社長、伊丹清吾に食い込もうとする真藤を描きつつ、相馬と舞が訪れた新宿支店での融資トラブルを描く。

主任検査官
小規模店、武蔵小杉支店に金融庁の検査が入る。相馬と舞は内部告発者を探るべく、武蔵小杉支店に送り込まれる。

荒磯の子
激務で知られる蒲田支店に相馬と舞が応援として送り込まれるが、実は真藤一派の差し金であり、ボロを出させて臨店失格という烙印を押そうとする。その中、激務中に舞が「荒磯の子」という子供会の口座の動きが不自然であることに気付く。


過払い
相馬と舞が臨店中の原宿支店で、過払いというトラブルが発生する。店頭係の中島聡子が、現金を百万円多く客に渡してしまう。

彼岸花
真藤のもとに彼岸花が川野から送られてくる。縁起でもない。企画部調査役の児玉はその花を送り返そうとするが、奇妙なことに気付く。全エピソードの中では唯一、児玉が中心となった物語で花咲は最後にある女性の代理として登場。相馬が登場しない。

不祥事
本店営業第二部の中、約九千人分の給与データを格納した光ディスクが消える。

シャイロックの子供たち

登場人物が多く、ごちゃごちゃしているので、整理してみました。 ③の100万円紛失事件がメインで他の話はつながっている。⑨⑩が解決編。
①歯車じゃない
古川一夫…東京第一銀行長原支店、副支店長。高卒の叩き上げ。
小山徹…有名大学卒。融資課員。
反抗的な態度を取り続ける小山に腹を立てた古川は、小山に手を挙げる。

②傷心家族
友野裕…融資課。妻と小さい娘が一人いる。
大城戸工業への融資を決めなければ自分と家族の未来がない。
しかし大城戸は無情にも、他行からの融資を受けるといい、泣いて懇願する友野を残し立ち去る。

③みにくいアヒルの子
北川愛理…有能な女子行員。家庭の事情でお金に困っている。
三木哲夫…愛理の恋人。
西木雅博…営業課相談グループ課長代理。
長原支店で100万円紛失事件が発生し、疑いをかけられる愛理だが、古川をはじめ銀行のトップたちは、事件をうやむやにしてしまう。
西木は、愛理の疑いを晴らすべく指紋を調べるという。


④シーソーゲーム
遠藤拓治…業務課、課長代理。
滝野真…業務課、課長代理。
鹿島…遠藤の上司。
業績快調の滝野に対して、まったく業績が振るわない遠藤。
その遠藤が大口の取引先をものにしたという。しかし、遠藤に連れられて取引先の社長に挨拶をしに来た鹿島が見たものは、粗品に囲まれた狛犬だった。

⑤人体模型
坂井寛…人事部長
人事部長の坂井が、ある男の経歴を見て、その人物の人となりを肉付けしていく様が描かれていく。
その男の名前は西木雅博。西木は何者かとバーで落ち合った直後、突然、失踪していた。

⑥キンセラの季節
竹本直樹…野球少年だった過去を持つ高卒行員。
竹本が回されたのは失踪中の西木の後釜の仕事。そこで竹本は、西木が行員たちの指紋を採取していたことを知る。
そしてタイミングを測ったかのような今回の失踪。真相に近づきつつある竹本は、身の危険をはっきりと感じる。


⑦銀行レース
黒田道春…検査部
九条馨…支店長
検査部の黒田が、長原支店の100万円紛失の調査。その結果、支店長も加わったもみ消し不正を知る。
支店長に伝えるが、九条は黒田の過去をネタに逆に黒田をゆする。

⑧下町蜃気楼
田端洋司…融資課新人
滝野の架空融資が暴かれていく。

⑨ヒーローの食卓
滝野の幼少時代の思い出と、現在の家族が語られる。滝野は自分の犯した罪に押しつぶされそうになる。

⑩晴子の夏
晴子…パート
滝野の自供によって西木は失踪ではなく事件に巻き込まれ殺されたという。
しかし、晴子は愛理と話しているうちに、西木は殺されたのではなく、滝野らと手を組んで、自主的に失踪したのではないかと考える。
物語は西木の生死不明のまま終わる。

鉄の骨

談合の話。池井戸潤的なところは主人公「平太」の彼女が白水銀行に勤めているところぐらい。
私は、文庫本より先にNHK土曜ドラマ(2010年7月放送)を見ており、文庫本を読んでから改めてドラマを見ましたが、原作とドラマでは異なる部分が非常に多く、似ていますが、結末が若干異なります。

かばん屋の相続

十年目のクリスマス
十年前に倒産した顧客の神室電機社長を、デパートの高級宝飾店で見かけた銀行員の永島。 羽振りが良さそうな神室の姿を見て不信に思った永島は、男に何が起きたのか探り始める――。

セールストーク
赤字続きの印刷会社社長の小島に『融資見送り』を言い渡した銀行員の北村。しかし、小島は 5000万円もの融資を別口で借り受け、倒産危機を乗り越えた。そのからくりとは?

手形の行方
『クセ有り』部下の堀田が、取引先のタバタ機械から集金してきた手形を無くしてしまった。 行員総出で探したが、見つからない。上司の伊丹は、堀田の当日の行動から、手形の行方を 探り出そうとするが――。


芥のごとく
二十年近く大阪で鉄鋼商社を営んで来た豪傑女社長の土屋。担当になった銀行員二年目の山田は、 彼女との取り引きを続けるうちに、彼女の豪胆さに惹かれ、応援したい気持ちになっていた。 しかし、山田の意欲とは裏腹に、土屋の会社は次第に傾き始めて行き――。

妻の元カレ
入行して十年目の銀行員ヒロトは、ふとしたことから、妻宛てに届いた昔の元カレの葉書を 見つけてしまう。そこには、元カレが会社を設立し、代表取締役に就任したという報告が 書かれてあった。出世街道から外れた自分にとって、その知らせは胸をざわつかせるのに 十分な威力を持っていた。そこから、妻に対しての疑問が芽生え始めるが――。

かばん屋の相続
父が経営するかばん屋を嫌って銀行に就職した長男に対し、父を支えてかばん屋を手伝って来た 次男。しかし、父親が急死し、遺された遺言状にはかばん屋を長男に譲る旨が書かれていた。 銀行を退職して手のひらを返したように父親のかばん屋を引き継いだ長男だったが、取引先の 弱小信金を見下す傲慢な態度ばかりを取り、担当の太郎は苦々しく思っていた。

七つの会議

8章からなっていて、それぞれの章に主人公がいる。全体としては八角民夫が主人公なのだろう。
誰を主人公にしてもドラマになりそう。因みにNHKドラマでは原島万二が主人公。

銀翼のイカロス

この本は、単行本発刊案内(2014年7月4日)と同時に購入予約して入手(2014年8月2日)。こういうことをしたのは生まれて初めてです。
"2009年9月に自由民主党から民主党への政権交代が起きたが、JALグループの再建問題は前政権下からの緊急の課題であった。前原誠司国土交通大臣は、前政権下の「日本航空の経営改善のための有識者会議」を廃止するとともに、「JAL再生タスクフォース」を設置して、JALグループの資産査定を行わせ、政治主導で再生計画を策定させることとした。"(ウィキペディアより引用。2014年8月19日)
「銀翼のイカロス」の状況設定もこれと同じだが、その後の展開は異なる。

森村誠一

たぶん、私が初めて読んだ推理小説は、「虚構の空路(1973)」だったと思います。
当時は、角川映画が始まったころで、 「人間の証明(1976)」、「青春の証明(1977)」、「野生の証明(1977)」、、、森村誠一にはまっていきました。
いま池井戸潤にはまっていますが、わたしは世の中の流行に弱いようです。
大学を卒業するまでに、出ていた森村誠一作品はほとんど読んでしまったように思います。
就職後は、妻の影響で「忠臣蔵(1986)」を読んだ程度です。

●高層の死角(1969)
昭和4X年7月22日午前7時ごろ、東京竹橋のパレスホテル3401号室で、オーナー社長久住(くじゅう)政之助が刺殺体で発見された。
死亡推定時刻は午前1時~2時の間という鑑識の報告と、部屋と寝室の両方のドアが施錠されたいわゆる「二重の密室」状態であったことから、刑事たちは内部の人間の犯行として捜査を進める。
●虚構の空路(1973)
ひかり号車内で、車掌が若い女の死体を発見。死因は青酸中毒。目撃者の証言から、東京駅発車寸前に降りた男の犯行との見方が強まる。3か月後、今度は都内ホテルで男の刺殺体。2つの事件の重大な共通点が捜査本部を緊張させる。被害者はとも同じ会社の社員だった。
ただちに綿密な聞き込みが行われ、その結果、ある海外旅行社の営業部長が重要容疑者として浮かび上がった。だが彼には、両事件ともに完璧なアリバイがあった。
●人間の証明(1976)
東京・赤坂の高層ホテルの、展望レストランのある最上階に到着したエレベーター内で、胸部を刺されたまま乗り込んできた黒人青年が死亡した。事件は殺人事件と断定され、麹町署に捜査本部が設置される。捜査を担当することになった麹町署の棟居弘一良刑事らは、被害者の名前がジョニー・ヘイワードであり、彼をホテルまで乗せたタクシー運転手の証言から、車中でジョニーが「ストウハ」と謎の言葉を発していたことを突き止める。さらにタクシーの車内からは、ジョニーが忘れたと思われるボロボロになった『西條八十詩集』が発見される。
棟居らの必至の捜査も虚しく、ようとして容疑者が浮かばなかった。そこで、ジョニーの住んでいたアメリカ南部へ捜査の手を伸ばした棟居は、ジョニーが日本へ来たのは、日本人の母親に会うためだったと知る。
●青春の証明(1977)
昭和28年、笠岡(緒形拳)は恋人・麻子(有馬稲子)とのデート中に暴漢に襲われた。笠岡はなすすべもなく立ち尽くすが、幸い暴漢を追っていた刑事によって麻子は助けられた。だが、その際に刑事は暴漢の手に掛り命を失った。麻子は、自分と刑事を助けようともしなかった笠岡を「卑怯者」と呼び彼の元を去っていった。その後、笠岡は刑事を殺して逃亡した犯人・栗山を自らの手で捕まえるため仕事を辞め警察官となった。そして、刑事の娘・時子(藤村志保)と結婚するのであった。そして、25年後の昭和53年―――刑事となった笠岡はついに栗山に関する重要な手掛りを掴むのだが・・・・・・
●野性の証明(1977)
●忠臣蔵(1986)

赤川次郎

赤川次郎は、やはり大学時代読みあさった作者の一人です。とにかく明るい、軽いという印象。ずっと森村誠一ばっかりだったのでよけいそのように思ったのかもしれません。最初に読んだのが「 セーラー服と機関銃(1978)」で、これも角川映画の影響。

●セーラー服と機関銃(1978)
●さびしがり屋の死体(1981)

筒井康隆

筒井康隆は、大学時代後半にはまった作者。他に星新一とか阿刀田高も同じようなSF作家ですが、そのなかでも筒井康隆が好きです。
1983年~85年にかけて筒井康隆全集(全24巻、新潮社)出たので買いました。

その中でも「富豪刑事(1978)」というのは気に入っています。赤川次郎以上に明るく、軽い。捜査の方法も「富豪」なので、張り込みの為にとなりのマンションを買い取っちゃったり、、、傑作です。
「おれに関する噂(1974)」の畳男(たたみおとこ)が最高です。こういうナンセンスなのが好きです。「ラッパを吹く弟」も最高です。
「家族八景(1972)」、「七瀬ふたたび(1975)」、「エディプスの恋人(1977)」は七瀬3部作と呼ばれています。

●48億の妄想(1965)
●時をかける少女(1967)
●家族八景(1972)、七瀬ふたたび(1975)、エディプスの恋人(1977)
●おれに関する噂(1974)
●富豪刑事(1978)

中島敦

1941年、教職(高校)を辞し、パラオ南洋庁へ教科書編纂掛として赴任する。山月記は、このころ教科書用として書いたもののひとつ。
1942年3月、戦争の激化により、帰国。7月、辞職。『古譚』、『光と風と夢』を『文學界』に発表。12月、気管支喘息で33歳没。
山月記は『古譚』の中の1編。
●山月記(1942)
李徴は秀才だったが、片意地で自負心が強く、役人の身分に満足せず、早々に辞職し詩人として名を成そうとするも、挫折。
再び小役人となって屈辱的な生活を強いられたが、その後、発狂し、そのまま山へ消え、行方知れずとなった。
翌年、彼の数少ない旧友で高位の役人であった袁さんは、人食い虎の危険をもかえりみず、月が明るく残る未明に旅に立つが、その途中で虎に襲われる。しかし、その虎の正体は李徴であった。虎となった李徴は茂みに姿を隠したままいきさつを語る。
「昨年、何かの声に惹かれ、山中に走りこみ、気がついたら虎になっていた。人間の意識に戻る時もあるが、次第に本当の虎として人や獣を襲い、食らう時間が長くなっている。そこで頼みがある。まだ自分が記憶している数十の詩編を書き残してくれないか」。
袁さんは李徴の朗ずる詩を部下に書き取らせた。それらは見事な出来ばえだったが、微妙に劣る所があるように思う。
李徴は更に語る。なぜ虎になったのか。自分は他人との交流を避け、皆はそれを傲慢だと言ったが、実は臆病な自尊心と、尊大な羞恥心の為せる業だった。本当は詩才がないのを認めるのを恐れ、苦労して才を磨くことも嫌がった。それが心中の虎であり、ついに本当に虎になったのだ。
夜は明けかけ、別れを惜しむ袁さんに李徴は、残された自分の妻子の援助を依頼し、自分はもうすぐ虎に戻る、早くここを離れ、しばらく行ったら振り返るようにと言う。袁さんの一行が言われた通りにすると、朝明けの空で光を失った月の下に猛虎が姿を現わし、咆哮しながら姿を消し、再びその姿を見せる事はなかった。

太宰治

●斜陽
●走れロメス

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開始:2014年3月18日
更新:2014年3月18日
更新:2014年8月12日
最終更新:2014年8月19日